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B型主婦症候群

日常を笑いとばして、たくましく生きる…。
本音で迫るコラム!

【アベニューサロン】 【似顔絵ギャラリー】



男はフェイドアウト
黒柳徹子(キリ絵イラスト:飯塚雄介)
 新聞をみてたら『あなたに″ジャストフィット″するラブをつくります』。誰がつくってくれるんじゃい、とみるとワコールで、ラブではなくてブラだった。
 友人が、イチョウが黄金色になった絵画館前を昨年秋に歩いた、と言う。「誰と?」ときくと不明瞭な答え。「夫と?」と再度きくと「そんなような…」。「アナザーな男?」とまたきくと「そんな人、欲しいよネ。友達と歩いたのヨ」。その場にいた3名で、いっしょに散策できるヒト(男)が欲しい、と盛り上がる。「その場合、妻アリ?」「そりゃまあネ」「こっちだって家庭あるし」「だから問題ないか」「あるような…」。そこにもう1名来る。「あなたは家庭に満足だからいいワケよね」と仲間はずれみたいに言うと「私だってトキメキたいわよ」。でまたワアワア。でも出会いがないし…。
 「じゃさ」と私は言う。「募集しよう。中高年サークル。ハイキングや語らいしてますって」「面接してさ」「ベシャリかな、この歳ンなると」「サークルったってふたりだけで欠員1名」。ふくらむふくらむ。が、絵画館前の友人は「そうこう言っても介護の現実よ」と帰っていった。なんだか切ない、みんないろいろ抱えてて。だからこそ、活力の素が欲しいのだ。♪恋をするのも家庭の事情〜、とトニー谷も歌っていた。
 で、ジャストフィットするラブを煮つめて考えてみる。若いの、渋いの、芸術家…。想像するのは楽しい。でもズボラで飽きっぽい私は一方で、もしかしてめんどいかもなあとも思うのだつた。結局、サークル募集もせず、想像上の男は消えてった。ズボラはすべてのチャンスをのがす、が今回の教訓、ですか。(2003年3月号)

 


読まないで下さい
デビィ夫人(キリ絵イラスト:飯塚雄介)
  あの〜すいません『たそがれ清兵衛』どこらへんがおもしろいんでしょうか。友人が「血がざわめいた」というので私も、と観にいったけど、私の血は静かに流れていた。田中泯さんだけカッコよかった。そのうちに世間での評価はどんどん高くなっていく。わからん。私、感受性が欠けているのだろう。
 世間の評判はすごくいいのに私の中ではバツって他にも。パート先の 才バイト嬢が「もう〜ディズニーランドって天国みたい」と言う。ま、いいケド天国への入場料6千円だかは安いのか高いのか。「私は冬枯れた山の方がいいな」「現実的なんですね」。そうなの?ロマンあるじゃん、山。「シンデレラ城とか見えたらたまんなくて」「あんた、白雪姫なんかパレードのあとヅラとって煙草プカーふかして『アイムタイアード』とか言ってんだよ。ミッキーなんかミッキー脱いだらおブーだぜ。ジヤングルクルーズのお兄さんは…」「やめて下さい、あんずさん」と泣き出すのであった。ホントの(と私が思う)こと言っただけなのに。息子に話すと「なんでそうやって夢こわすかな」と言われた。徹底した社員教育は素晴らしいと思う。でも遊びに行くとこには、私、陰影がほしいのよ。明るいだけじゃかわいいだけじゃダメなのよ。大挙して押しよせる人をTVで観ると、私はやっぱり欠けてるんだろう。
 『自分の中ではバツ』モノってそれぞれあると思う。その人の個性である。でも私の場合、大いに反感かうものばかりかも。反感ついでに言っちゃうと、宇多田ヒカルってどこがいいの?。もののけ姫っておもしろかった?。あ〜一億人ぐらい敵にまわしました。(2003年2月号)

 


 

ナンギな恋愛だった

慎吾ママ(キリ絵イラスト:飯塚雄介)
  気分屋で金使いが荒くてすご〜くいい女との恋愛がドロ沼になった。すったもんだの末、やっと別れた。と、こんな風に、5年乗り続けたローバーミニを手離した。
 楽しい思い出がいっぱいある。ガタイがデカくなって頭が天井につかえる息子達を押し込んで、家族4人で新潟の山に行った時。おりしもの台風で車中に雨が漏れてきて途中、文房具屋でボンドを買い隙間をふさいだ。山に着いて山道をゆるゆる走ってたら、車高低くておなかを擦る音が。結局、3人降りて歩き、夫のみが運転して登山口に着いたのだった。下山して翌日は帰途についた。おいしい小ナスやらを買いこみ、ザックをトランクに入れ、いざ魚沼産の米キロを買おうとしたら、どうやっても米は積めないのだった。 1台目のミニは、3ケ月目に夫がUターンしようと中央分離帯のブロックを越えたとたん、こわれた。2台目は走行中にマフラーが落っこちた。レッカー車3回。エンジンかけると煙があがったこともある。窓はもちろんのことしばしばウインカーも手動。鍵は3つでドア、エンジン、ガソリンと。そんな手間ひまが好きだった。乗ってる人達のお仲間感も好きだった。
 みんな「ペットだよ」と言う。わかるよ、あふれる愛とかかる金。別れる決心をして2ケ月、やっと次に出会ったのは国産マニュアル車。やっぱり″シンプル・イズ・不便″タイプだけど、修理工場が近いので安心。いまだに走ってるミニを心おだやかには見られないが、新しい恋はすでに進行中。私は車に快適なんて求めない。運転してるリアルが欲しいだけ。乗るたびイケてると思いたいだけ。(2001/8月号)

 


恋は土木作業

加賀まりこ(キリ絵イラスト:飯塚雄介)
 いつもニコニコしてイイ感じのおニイさんがGパン屋にいる。若くてかわいくて、買いもしない私と友人にも友達みたいに「どーも」なんて言ってくれる。店を出てひとしきり友人と「いいよネ」と喋くったあと「機嫌わるいときなんてあんのかな」「家に帰るとムスーッとしたりして」「寝起き悪いとか」という流れに。私達は必ず、いい人なら欠点はなんだろうか、と考えずにいられないのだ。それが人間、バランスというものだ。針はゼロのところにあるけれど、その振幅の大小が個性となっていると思う。
 ひとりの人間の中のプラスとマイナスを私は「うめあわせ発想」していく。姪は齢にして「いい男に出会わない」という。完ペキな人間なんていないよ。やなとこがあっても、いいとこでそこをカバーできればいいんだよ、と件の友人と私は言う。言いつつ頭の中で、夫のデコ部分とボコ部分の土木作業を一所懸命している。ちらかしっぱなしだけど働いてくれる、とかハイテンションでマシンガントークは楽しいけど止まらないのはチョットうるさい、とか小言たれたれでお通夜みたいな夕食があるが、趣味の世界が似てていい、とか。差し引きゼロになるよう穴ボコを埋めていく。揺れの大きい人ほどかきたてられておもしろい。
 うちがお世話になっているお坊さんは正真正銘、老若男女に好かれる人で、私も好きだ。ユーモアあり、説得力あり、柔軟であり。でも、そんな人いるう?って思う私は、なんか″うめあわせモノ″があるだろうと罰あたりを百も承知で、万人のセラピスト・お坊の煩悩についても考えるのだった。(2001/7月号)

 


電話線のゆううつ

和田アキ子(キリ絵イラスト:飯塚雄介)

  電話は暴力だ。突然ベルが鳴り出し、相手はわからず、うむを言わせない。  営業の電話が多いのだ。「出張エステ、今なら五百円」「換気扇、お風呂場のお掃除、今なら五百円」。五百円でやってもらって、ポッキリってことはないだろう、そのあとさ。「外装工事の…」「学習教材を…」。みんなノンノンだ。  「海のみえるマンションがですね…」うちも海みえます。「投資目的でお買い得です」お金ないですから。″そんなに儲かるならあなたが買えば″のひと言がなぜ言えない、私。「私くし○○大学の△△と申します。お子さんの家庭教師を…」塾いってますので。「それだけじゃ足りないところを」けっこうです。″成績いいです″のひと言がなぜ言えない。嘘だから。一度、長男が「かわって」と受話器をとり「○○大学じゃだめです」と言った。どの口がそう言うかと浪人生の息子に唖然としたが、営業電話にはそれでよい。大学生、バイトより自分の勉強しろよ。  そんな″み〜んなお断わり″な私が一度コロッといったのだ。夕方の忙しい時間に、流暢にしゃべるその女性は「着物を見ていただいて、流行の色彩 や絵柄の意見をおききしたい」というのだった。私は友禅のアート世界に惹かれて、気がつくと分も会話していた。「それじあ○日の○時にうかがいます」と言われ電話が切れた瞬間、あ、ひっかかったと思ってヘナヘナとなってしまった。懐疑的だと思ってた自分が、電話なんて簡単な手段にのっかるなんて。着物、売りつけられるのだろうか。こんなこと夫に言えないし。落ちこむ鳥井。あ、書ききれない。続きは次回です。(2000/8月号)

 


 

 『お着物を見ていただきたい』といういかがわしい電話にまんまとひっかかった私。ひとりじゃマズイ、とすぐ友人2人に相談して当日来てもらうことにした。店を調べようにも何の手がかりもないのだが、電話から2日後、ハガキが届いた。『つきましては○日にうかがいます』。丁寧だが連絡先はない。最初は、着物をひろげたら汚してしまって、百万で買い取りなんてことになったら大変、と考えていた。友人が市の消費者センターにきくと「言葉たくみですから絶対、家にあげてはダメです」と言われたという。  当日となった。友人2人に早めに来てもらってまずは掃除。私「でもあの人、本当に着物みせるだけかもしれないよねえ」と言って友人に鬼の形相で「何いってんのよ!」ととくとくとサギ商法を説かれ、おこられる。半信半疑をひきずる、こういうの最後まで。  約束の時間、2時。どんな魔物がくるのかと3人、心のスクラム組むように待った。分過ぎて…、電話。たまたま家にいた浪人の息子がヒョイとでて「お母さん、何か」と受話器を渡す。と数日前のよどみない美しい声が。「鳥井さん〜、ごめんなさいねェ。前のところで時間かかって今日はいけなくなりました」「じゃなかったことに」カチャリ。近所にいるかも、と皆で外をみたが見当たらなかった。力が抜けた。息子のオヤジ声をきいて訪問をやめたのか? 本当にみんなぐったりだった。電話1本でこんなに翻弄されて…。  あいかわらず営業の電話は多い。姑は最近「もしもし、お墓どうですか」と言ってくると憤慨していた。ベルさん、草葉の陰でどう思う?(2000/9月号)



ニッポン、ミノ化現象

広末涼子(キリ絵イラスト:飯塚雄介)

 健康食品のチラシが新聞にはさまっていた。私は食卓でそれにじーっと見入ってしまった。コラーゲンだかはシワとりじゃなかったっけ。『長寿と活力の源』にはローヤルゼリー、『健やかな老後』にはプロポリス、『朝をスッキリ』はクロレラ、骨粗鬆症予防薬やザクロジュースも欲しい。しかしそれらは20種類もあって何が何やら。そこへ姑がやってきたので「ねえ、お義母さんこれみて。いいと思わない?」。するとでました姑の一発。「ダメ、こんなの。10年前にカラダにいいって貝殻だか何だか飲んでたあそこの山田と鈴木がよォ、今みんな心臓悪くしてるよ」。それで「私が飲めっつった″M″のまないでよ、あれが一番いいんだよ」だって。これじゃ同じ穴のムジナ。ソレやめてコレさえ飲めばって、健康はおどしの入った″信じる者は救われる″システムなのだ。
 「すべての健康食品は不健康である」。夫が言い切った。『発掘!あるある大辞典』。や昼間のミノの番組あたりでひとつの食材をほめまくる。科学的でうまい説明なんだ、これが。実は私、この夏これでまんまとカボチャにはまってた。2週間食べ続ければ肌はツルツル、便秘解消と言ったのだ。1日2回とも。食べましたよ、1ケ月ちかく。肌?カワンネ。1日1回現状維持。毎回TVでは青魚、豆、バナナといろんなものが紹介されるので「結局、毎食ふつうの食事をしてればいいってことなんだよ」と夫は言うのだった。正しいと思った。
 私の人生の目標のひとつは「夫より長生きする」である。その下心が健康をめざすココロのバネ。いいのこんな健康マイブーム?(1999/11月号)

 


 

めざせ!!マッチョ女

森公美子(キリ絵イラスト:飯塚雄介)

 今、プールではみんな水中を歩いている。ひたすら歩く。泳げない私にはうれしい状態だ。今年の初夢で道を歩く私が途中で空中をスイーって泳ぎ出した。それで毎年なんかかんか決めてる1年のテーマを″プール とした。以来、最低週1回1時間の水中歩行を自分に課している。
 カラダに目覚めたのは、去年のはじめの頃からである。脂肪を燃焼させたい。くびれたい、ひきしめたいのよ、マイボデーを。膨張しつづけたら好みのお洒落できないんだもん、おバサンはいっちゃうし。テレビで情報はバンバンはいるでしょ。体脂肪はいくつ、の合言葉が今じゃ中性脂肪だ。青魚食べてますよ、昆布だの納豆やらも。
 移動のための車と50ccバイクはやめて3年目。徒歩と自転車の生活である。私はパートで時間がこまぎれになるので逆にそれをいかしてとにかく歩く。用のある日は自転車移動。やわいトライアスロン気分よ、マッチョは近いか。おまけとして我家のガソリン代が減ったのだった。
 テレビのニュースをみていたらオリンピックのドーピング問題をやっていた。「あ〜、私ドーピングしたいなあ。ネェ、仕事関係でそういう薬、手に入んない?」筋肉質になりたい私は夫にきく。「そんなに体鍛えて誰にみせるのよ」わかっちゃいない夫は言う。「ノンノン〜。なんで考えるコト、欲望方面いっちゃうのよ、禁欲的なんだよ、こういう生活は」両手に2キロのダンベルを握って私は言う。″人間、一番目はミバ 主義の私は飲酒の回数をへらしたし。代謝能力の下降線とは逆向きに、カラダにむける意識は高まってきている。(1999/4月号)



暦モード、入ってます

久本雅美(キリ絵イラスト:飯塚雄介)

「こよみ読むとよ、今年は1番わるいんだよ、気をつけな」姑はよくこういうふうに私に言う。「あら、お義母さんにいいって言われた年は1度もないわよ」。暦は姑の愛読書だ。我家の1人1人の安全のおフダをもらってくれるのはうれしいけど、それ以上の“起こる前の不幸の心配”にはなんとかしてチョと思っちゃう。有事には私は現場主義で現場処理を貫いている。
 私は姑の言うことも正しいと思うことは素直に認める嫁である。フェアでいようと努めている。しかし何かに責任を転嫁するのがいやなのだ。「あそこのうちに嫁がこないからみてもらったんだよ、生年月日と名前と家相」「嫁こないのは問題があるからじゃないのォ? そんなことのせいにしないで現実みたら」。私はキレていた。その前の会話で、借金つくって家出したどこぞの嫁が私と同じ干支で同じ月の生まれだと、あたかも私もヤバイぞ的に言うからだった。
 しかしこういうジャパニーズなバイオリズムは正体がわからないので不思議感は抱いている。去年、車を替えたらどうも夫と相性が悪い。1台目、3ヵ月でこわしてしまって廃車。また同じのを買ったが、夫の運転中に2度ウィンカーがこわれ、その後、追突された。車屋さんから「おはらいにいきなよ」と言われた。「車じゃなくてダンナの」だって。夫の友人に話したら「あの人は昔から壊すの得意でさ、生きる厄年と言われてますから」とダメ押し。2年サボってたけど今年こそ寒川神社におはらいに行こう。ところで私と同じ九紫火星の皆様は今年は開運。節分以降、どんなめくるめく年が展開するのだろう、期待しちゃうなァ。
(1998/1月号)

 



おでかけはリーボックで

大竹しのぶ(キリ絵イラスト:飯塚雄介)

 昨今の女性パワーはすごい。姑の友人にばったり会って、リュックを背負ったその姿に「おばさん、元気だよネー」と声をかけると「そーじゃないんだよ」と言いつつ見せてくれた万歩計は午前中というのにはや八千歩。そして、これからエアロビやってからプールで汗を流すという。え〜。
 姑は、仕事で忙しい人生を送ってきたが、65を過ぎてから爆発したようにヨガと習字とコーラスを始めた。庭仕事に燃え、さきの友人とプールに行く。そして「人間、感動しなくなったらお終いだよ」と真実の言葉をチラリと舅を見ながら言うのだった。私など足元にも及ばない、前向きで。死なないつもりで生きてるようだ。
 活動的ってことでは(私も行っているのがバレるが)ハイキングとか食事、映画に行くと必ずおばさんグループがいる。仲良きことは美しき哉でいいのだが、私もああかなァとちょいブルー。友人8人で連れだって歩いた時の写真をテーブルに置いといたら高1息子が「ああ、ザ・おばさんズね」と言うのだった。うなった、まさにその通り。若い女の子と同じくかたまって喋っているだけでも“おい、おい、おばさん”てことになる。なぜなんだろう。なぜ『おばさん的』なのか。これからの私の課題である。
 少し前にはやった中谷美紀の歌『砂の果実』の“あの頃の僕らがわらって軽蔑した 恥ずかしい大人にあの時なったんだね”の言葉は胸にささった。つい四半世紀前の気持ちだった。私の場合、時を経て“困った大人になったんだね”なような気がするが。飲む・打つ・買うパターンでいうと、飲む・喋る・出かける、か。
(1997/12月号)

 


フィーバー列島

安室奈美恵(キリ絵イラスト:飯塚雄介)

 日本てとにかく早いなぁと思う。パッと広がるの。十何年か前のTV番組「北の国から」で、初めて広大な紫色のラベンダー畑と富良野とがセットで脳ミソに刻まれたので、私は富良野にしかラベンダーは育たないと思ってた。南限というか。そのうち全国的にハーブガーデンができはじめた。そしたらなンざんしょ、今ではこの三浦の地の、うちの近所にも一家に一鉢の普及率。何種類ものラベンダーを育ててる人もいるし。なんかすごいパワーとスピードだ。ハーブっていわれだしてあっという間に愛好者ふえて、儲かるってことでスーパーでも扱いだして、安売りでは1つ98円の庶民派だ。
 私、ミーハーの時期をすぎてみるとハーブティ、きらいだ。無理においしいとかいってた気がする。やっぱり日本茶とか紅茶やコーヒーの、技のあるやつ、カフェイン、タンニンをきっちし含んだのが好きだ。ハーブに多い鎮静効果なんていらない。刺激のつよいスパイスで体がホッホッする方がいい。…この時期、敵つくる発言か。
 ハーブに地続きで今はガーデニングばやり。どの雑誌もキレイに撮った写真が目を惹く。このごろって流行の規模は大きくなったが、引き際もスッパリ。「みんなが知りたがってる」ことにしてあおるメディアとの相乗効果だから仕方ないけど、でも全員、同じ方向むいちゃうのもねえ。
 ま、ハーブは定着したみたいだけど。いろんなものの流行とすたれ方をみていると、蟻の大群がすべてを喰いつくしながら進む“黒い絨緞”て感じ、一色に染めて次から次だもの。それが情報社会ってやつなわけ?
(1997/7月号)


パソコンがやってきた

野村沙知代(キリ絵イラスト:飯塚雄介)

 上の子が高校に入ったのを機に我家もパソコンを買おうということになった。そして改めて人の話をきくと、えっ、いつの間にって感じでパソコンを持つ家庭が多く、しかも「おもしろいよ〜、やってみなよ」と同年代の人が言っている。いつそんな機械が使えるようになったのよーと肩をつかんで激しくゆすってやりたくなった。息子もそうなのだ、いったいおまえ、いつのまに…。
 主婦の仲間で、家にパソコンあるけど使えないって人が集まり、その中の一人のご主人に教わることになった。息子も同席した。いきなり教えられても何が何だかわからず「えーと」なんて質問した。そしたら息子が「あのォ母はパソコンの基本概念を理解してないですから」だとさ。そんなむずかしい言葉まで使われて、少しみなおしてウレシイけど、くやし〜。
 どうやらあの箱の中に概念とやらがつまっていて、みえない電波だか電気の先の、どこか遠くの方にいろんな世界がある、らしい。私はこれまでの人生で、ビデオデッキを買った時は一生懸命、取扱い説明書を読んでタイマー録画ができるまでになった。車をオートマからマニュアルに変えた時も何とかふんばって、今ではギアチェンジできるようになった。なんか例えがド根性だけど。そんなで、パソコンも何とかならんかと思うのだが、そういう発想じゃないところにあの箱はあるようで、私にとってはすでに粗大ゴミ化が進んでいる。
 夢はB型主婦の1回目からのホームページをひらくこと。でもどうやるのだろう。ウィンドウズって何のことかもわからない。
(1997/6月号)

 


読む読めば読みたい

江角マキコ(キリ絵イラスト:飯塚雄介)
 「私、活字読むのが遅くて遅くて…」と本やマンガを貸し借りする友人に話していた。新聞を1日で読めない。日曜版は読むとこが多く1週間以上、手元にある。週刊誌はキッチリ読みたいと思うと1週間じゃまにあわない。「それってたまる一方じゃん」と言われた。彼女は「夕食のあととか、もう後片づけしないでそのまま読み物に入りたいよネ。たまにほっとくと夫が『片づけないの?』とか言ってそれでも読んでいると自分で洗い始めたり…」という。ワカルワカル。そうするとマズイ気分になったりする。全く家事ってやつは。話の流れで、私がラジオで聞いた人生相談の解答で「そうじ、せんたく、そして自分のオシャレ、とこうすればご主人は戻ってきます」ってのがあってサァ、と言ったら彼女は急に「どうして家事のできる女というのが主婦のランクの上なワケ? そんなの変だよ」と真剣に言うのだった。あぁ、たたかってるなと思った。
 私はもうそんなこと言わなくなった。現実はリクツをはるかに越える勢いと繰り返しで押し寄せるから。そして1日のつじつまがあっていれば夫はいいんだろうなと思うようになった。昼間どう過ごしても大急ぎで夕食の支度して、無事に間に合えば安堵、つじつまが合ってひとまずって感じ。パートの合間をぬってのPTAや子供会や美容院や友人とのランチをクリア。
 さてたまった活字は、というと夫の夜勤の日に“ため読み”する。ただ片手にグラスを握っているので、うれしすぎて盃がすすみ、翌日何を読んだのか覚えてない時があるのが残念だ。
(1997/5月号)

 

 


空中にとびかう電波

楠田枝里子(キリ絵イラスト:飯塚雄介)

 携帯電話の出始めの頃って街でしゃべってる人みると、おーかっこいい、とか思ってたけど、今では電車の中にいると、あちこちからピロロロロときこえるようになった。もうケータイはぜんぜん普通になったけど、私は数年前のポケベル以降、電波方面に接点を持たない人間となっている。
 といっても電話の便利さ楽しさを充分理解できる。2人で話す見えない世界がカラダここにいながらパッとひろがるカンジ。しかし電車の中でしゃべくる人、切ったあとのスの自分と場の空気のギャップ、照れません? 似たものに、夫婦で険悪な口論している最中にかかってくる友達からの電話がある。「どーしてたー」なんてとっさに明るい声出しながら「ああ、このコードの先は明るい世界が…」と思う。顔面を残し、後頭部およびうしろの部屋すべてに暗く斜線を入れたような“和田誠”風のイラストが脳裏に浮かぶ。この『逆いのちの電話』は受話器をおいたあとも、感情のポジションがわからず、気まず〜いのだった。
 基本的にこちらのことはおかまいなしの電話。ベルがなれば何故かなにをおいても急いで出てしまう。玄関をやっとあけて受話器をとったとたん切れたり、コードレスじゃないのについ油断して天プラの途中でとって、切るに切れなかったり。姑には「何回電話してもでない」と言われ何度くやしい思いをしたか。また「ちょっと来て」と軽く言われた時の欝屈感。舅は電話が鳴り出すときまって「でんわあ」と叫ぶ。言われなくたってわかってる。
 電話界は日進月歩だけどようは人と人をつなぐ機械だから、周辺も含め多様なドラマの宝庫である。
(1997/3月号)

 

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