九 里 美 保
くのりみほ

 新宿のどまん中にある喫茶店。その店でくり広げられる日常の風景…。例えばお茶にくるお客様とウェイトレスのやりとりや、スタッフの失敗談など、ユーモラスなエピソードの数々。そんな生きた題材をウェイトレスとして内部からウォッチングしている人がいる。今月も小紙7面のまんが「のべつまくなし」欄を飾ってくれるのは、葉山町木古庭の九里美保(くのりみほ)さん。
 今までのまんがによると、ウェイトレスはまず体力勝負というところらしい。面接では体力テストがあり、大きな声、オーダーの暗記、スマイルが必要だ。そんな何げないことを4コマにまとめ、読者をクスッと笑わせる技術には毎月感心させられる。エスプリを効かせるセンスもさることながら、馴染みやすい絵柄も好評だ。
 3歳のときから母親に絵の手ほどきを受け、まんがを描きはじめた美保さんだが、祖父は油絵で知られる故九里保氏ゆえ、血筋と言えそうだ。
 初め、社会人となった頃、求人情報誌の営業アシスタントの仕事をする中で、いつの間にかイラストレーターやデザイナーとしてかり出され手がけるようになる。仕事は深夜に及ぶことの方が多かった。そんな中でコメディータッチの作品を多く上演する《劇団ビタミン大使「ABC」》(主宰は中・高生に人気の宮川賢氏)との出あいがあり、ひらめくものを感じたそうだ。やがてオーディションに合格、舞台女優として活躍することになる。舞台ではシチュエーションを与えられて、適切なアドリブが要求されるから、人間観察が必要となってくる。そこで喫茶店にやってくるお客様が彼女の勉強対象となるそうだ。
 「自分じゃふだんはおじおじしているのに、ステージではなぜか悪い女の役が多いんです。でもステージで精いっぱいやるときは、弱気の自分が吹きとんじゃう」と語るが、まんがの愛読者でもある小紙スタッフから見れば、おじおじどころかこの夏一番元気の素をふりまいてくれそうな、まぶしい女性なのだ。
 この先も舞台女優として精進を続けたいという美保さんは、室井滋や市原悦子のような、笑って笑ってちょっぴり悲しい…、そんな役者をめざしている。



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