基地の街であり、国際海の手文化都市を掲げる横須賀市には、多くの外国人が暮らしているが、その中にはペルーやブラジルなど、南米出身の日系人もかなりの割合を占めている。
1990年の入管法改定以来、日本政府の招きで南米からたくさんの日系人がやってくるようになった。当時、バブル経済に沸く日本企業で、主に工場労働者として働き始め、今ではその多くが家族を呼び寄せて定住化する傾向にあるという。しかし言うまでもなく、言葉も習慣も違う日本で暮らすことは大変なことで、様々な悩みや問題を抱え込むこととなる。
大津カトリック教会では9年前スペイン人の神父が着任したことから日系の人達が相談に訪れるようになり、その対応の窓口として、ボランティアグループ「ラテンアメリカデスク」が開設された。ここでは生活するうえでの必要な情報を提供したり、問題を解決するための手助けをしている。
スタッフは日本人始め、ペルー人、ブラジル人、メキシコ人などと国際色も豊か。土・日曜に開いている事務所はいつもいろいろな言語が飛び交っているそうだ。「毎年300〜400件もの相談があります。なんと言っても言葉の問題から生じる仕事や職場でのトラブル、子供の学校のこと、病気、結婚、離婚などとその内容は生活全般にわたります」と、スタッフの一人、黒田郁子さん。
取材で伺った時も、来日して2年というペルー人の女性が、母子手帳をもらう手続きの事で相談にやって来た。スタッフはスペイン語で事情を聞いてすぐに市役所に問い合わせ、説明してあげると、安心した様子で帰っていった。
また6年前のこと。一人のペルー人が病気で亡くなった。葬儀費用も家族の帰国費用もなく困った事がきっかけで会の基金を設立。毎年、自らもウルグアイ移住経験を持つアルパ奏者の第一人者、ルシア塩満さんを招いてチャリティコンサートを開き、その収益金を基金維持に当てているそうだ。会では他に、日本語クラスを開いたり、南米の文化を紹介して異文化交流にも力を注ぐなど、活動は多方面にわたる。9月に行われた横須賀国際サッカー交流では、ペルーチームが優勝して、大いに盛り上がった。
「南米の人達は家族の絆をとても大切にし、生活を楽しんでいます。そんな彼らが、日本人社会の中で自分らしく生きていけるようにサポートしていきたい。そして、次の世代の子供たちがハンディを持たず、親と日本人との架け橋になってくれるように応援していきたいですね」とおっしゃる黒田さん。ラテンアメリカデスクのこの地道な活動が、日系の人達にとってどんなに大きな心の支えとなっていることだろう。
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