今月のひと 朝日アベニュートップ

 


馬コレクションに囲まれる三浦氏
 今年は午年。躍動感ある馬、優美な馬、それらをデフォルメしたものなど年賀状に馬の絵を扱った人も多いだろう。馬はつくづく「絵」になる。
 今月は、こよなく馬を愛するがゆえに、膨大な馬のコレクションをつづける、逗子にお住まいの三浦哲太郎さん(85)にご登場をお願いした。
 三浦さんと馬とのつきあいは古く学生時代に遡る。大学の馬術部に入り、愛馬精神を学ぶ。馬術競技は人と馬との共演によるスポーツで馬も競技者である。その中で、馬の賢さ、エレガントさと勇気を実感する。乗り手との信頼関係が絶対で、ふれあうことにより心身がいやされる。馬は三浦さんにとってかけがえのないものになっていった。かつて、鎌倉の桜祭りに武将の装束で馬上の人になったり、東京オリンピックでは運営のお手伝いをするなど、馬との思い出は語りつくせない。
 三浦家の玄関を開けると目に飛び込んでくる木彫りの馬の置物やレリーフ。部屋に通されるとありとあらゆる日常の品々、屏風、クッション、ティーカップ、などの他、九谷焼の香合など美術品もあり、まさに馬の博物館になっている。頂き物もあるとはいえ、コレクション歴60年の風格がここにはある。
 別の部屋にも馬目皿、中国の掛け軸、馬が100匹彫られている刀の鍔などケースの中に思わず目が奪われる。国、民族を問わずあつめた馬のコレクションはもう「数えきれない」といわれるように、切手、ネクタイ、指輪、民芸品などいれたら、その数は膨大だ。変わったところでは会津藩の馬市専用のお金、伏見人形の飾り馬と、馬は数千年前から人々と関わってきたようすがうなずける。
 馬コレクションに囲まれ60年、ともに過ごしてきた奥様の胸元にも馬のペンダントが。奥様は小紙にも連載を書かれている三浦澄子さんで、郷土史家らしく「古くから馬は神に捧げる贈り物として最高だった」と語る。まさに「馬が合う」ご夫婦は読書、お芝居と共通の趣味で生活に潤いを持たせている。
三浦哲太郎さん
伏見人形の飾り馬    

床の間を飾る「伊万里色絵」の馬