最近「ファーストフード」に対して「スローフード」ということばを聞くようになった。スローフードとは、伝統的な食材や料理、家庭料理などの大切な役割を見直そうという動きのことだ。
タコやタイで知られる横須賀・鴨居港の間近に住む、高橋久枝さん(主婦)は、わかめの収穫が終わった桜のこの時期、鴨居港に水揚げされる「昆布」を浜に干す作業に追われている。早朝刈り取った、幅20〜30センチ、長さ4メートルにもなる昆布を、一枚一枚手早く海水で洗い、ていねいに干場につるしていく。こんな時は真夏のような太陽と風がうれしい。
干し椎茸と同じで、わかめも昆布も天日干しは香りよく栄養価が高い。10年ほど前から鴨居でも昆布の養殖がさかんになり、今では地元産の早煮昆布として、家庭用ばかりでなく贈答用にも人気がでている。タネは本場北海道から空輸したもの。
高橋さんは神奈川県が認定した「ふるさとの生活技術指導士」として活躍している。幸い三方を海に囲まれた温暖な三浦半島には、この地でとれる海の幸、山の幸の恵みが豊富にある。台所に「包丁がない家庭もあると聞きますが淋しいですね。夕食はどんなものでも家庭でつくって子どもに食べさせたい」、という思いが高橋さんのなかに強くある。
年1回の「ふるさとの味展」も14回目を数えたが、現在横須賀、三浦、葉山の29名の主婦で構成される三浦半島地区農漁家生活研究連絡会でも、家庭でつくっている伝統的なものを伝え残していこうという活発な動きがある。
地元の食材を使って小さい子や家族に喜んで食べてもらえるように、また、忙しいお母さんも気軽に食卓にのせられる料理を提案しようと心がけている。取材の日も地元のくきわかめを湯がき、さっとキムチの素であえたり、早煮昆布の煮物やコノシロが骨まで食べられる料理などを試食した。また、魚が苦手な人にも魚のハンバーグなら喜ばれる。実に手早くおいしいし、なによりヘルシー感がうれしい。まさにスローフード。
こんな動きは保健所からも注目され、今度は高校生に魚のおろし方を教えてもらえないかとの依頼もあった。 5月17日(金)と18日(土)には「スローフードな食卓・三浦半島の恵みを味わう」を、東京ガス横須賀のクッキングスタジオ(TEL
26・3853)で開催を予定、高橋さんと三浦市の金子誠子さんが講師として招かれている。
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