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今も仕立台に向かう90歳
大正元年生まれと言うから野村和由さんは今年90歳になる。毎朝決まって8時には通りに面した店の仕立て台に向かい、衣服のサイズ直しの仕事に入る。しかもメガネも使わない、そのお元気な様子には誰もが驚く。若い頃はチャイナ服の仕立てを勉強し得意分野としていたこの道75年の超ベテランは、時代の要請で軍服を縫ったりもしたがもう過去のことは言わないことにしているそうだ。一時期、オーダーもやりつつ直しもやったが「ああ…、両天秤はだめだ、お客様に迷惑をかける」と、直し専門に切り替えた。仕事をしながら今でも老人会の班長として活躍中の野村さんは、男は責任を持たなければだめだ、責任は自分でこしらえなければと、一貫した姿勢を持ち続けている。それにはまず体の調和が必要と、朝晩アキレス腱を伸ばす運動やその他の運動を自分への約束事としてやり続けている。体は宝だからと休みの日には自転車での散歩も欠かさない。
仕事台の上においてある道具は、昔のサラリーマンの月給の半分もしたという裁ちばさみや、あめ色になった2尺の物差しなど、愛着あるもうひとつの宝として、今でも大切に使われている。
優雅なヨーロピアン
押し花で人生を彩る
守屋千代さんは今を大切にいきいきと生きていて、周りで見ている人たちにパワーを下さる不思議な方だ。30年近くヨーロピアン押し花の先生として活躍され、当年76歳、その元気とバイタリティーの秘訣は…。
平凡な主婦だったという守屋さんだが、1年中庭に草花が植えてあるけれど、咲いては散っていってしまう花の命をもったいないなと思っていた矢先、テレビでフラワーデザイン大会の押し花コーナーを見たのがきっかけでその道に入ったという。亡くなったご主人の後押しで教師の資格を取得したおかげで、今でも生徒さんや人のつながりが多く、毎年展覧会に出品するオリジナル作品を作り続けている。
しかし13年に及ぶ両親の介護生活で緑内障を発病し、左目は失明しているという。
「それで考えを前向きに転換して、私の責任は果たした、これからは自分自身のために生きようと思い、好きな旅を楽しみながら、明るく朗らかな気分になっているうちに、いつしか右目の失明の危機も免れました」と、こともなくおっしゃる小柄で物静かな守屋さんの奥に流れる芯の強さには、勇気と好奇心が息づいているような気がした。
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