ROUTE134
(隼 志朗)
◆NO SIDE
大学スポーツが今ひとつ人気がないのは残念な気がする。高校スポーツは 溌剌として初々しく、直向な姿が感動を与え、またプロスポーツは野球にし ろサッカーにしろその技術の高さに魅了され、贔屓チームのサポーターとし て応援も楽しめる。それに引き替え大学生のスポーツはなんとなく地味なの かもしれない。 そんな中で、ラグビーやた箱根駅伝は別である。両者に共通するキーワー ドは2つあると思う。一つは共に冬のスポーツであること。冬場はプロ野球 もJリーグもシーズオフで、僕のようなスポーツフリークにとっては、やや 寂しい季節なのだ。ラグビーや駅伝はちょっとした季節限定の敵な贈り物と いったところかもしれない。そしてもう一つは、共にプロが存在しないとい うことである。 ラグビー用語の中に僕の好きな言葉がある。ユーミンの曲にもある「NO SIDE」だ。ゲームセットを意味するのだが、サイドがなくなる、つま り試合が終われば敵も味方もなく、両者健闘を称えあうのである。他のスポ ーツのように負けたチームがさっさと帰ってしまうようなことはない。勝者 は敗者をいたわり、敗者は勝者を讃える。「NO SIDE」とはまさにア マチュアスポーツの原点とも言えるだろう。 それ故に(?)ラグビーはとてもストイックで奥ゆかしいスポーツでもあ る。ボールより前に出ることはできず、ボールを前に投げても、落としても いけない。倒されたらいつまでもボールを持っていることは許されない。監 督は試合が始まるとベンチに入って選手に指示することはできず(僕には耐 えられないな)選手の自主性に任せる。そして真骨頂はご存知のようにボー ルが楕円形をしている(コレを考えた人は偉いと思う)ことである。どこへ 転がるか予測もつかない、とても公平且つ理不尽なボールなのである。また 「魔法のヤカン」というのもある。試合中ケガをしてもこのヤカンの水をかけ ると不思議なことに、たちまち元気になる。ラグビーとは本当に面 白いスポ ーツだ。 今年も大学選手権決勝は大勢の観客を集め大いに盛り上がった。一部プロ 化の話も耳にするが、いつまでも「NO SIDE」の精神を失わないでも らいたい。 そう言えば昔(全くの初心者で)ラグビーをした時、右手の小 指を骨折、全治2か月の重傷だった。仕事帰りに病院にいく際、毎日のよう に同僚に「志朗さん、今日もコレ?」と言われて、小指を立てる仕草をされ たものだ。周りの人は一体何のことだろうと思っただろうか・・・。