ROUTE134
(隼 志朗)
◆甲子園の心
今年の夏は本当に暑い。暑い夏の家での楽しみ、夜は冷えたビールを飲みながらテレビでのんびりとプロ野球、そして日中は甲子園の高校野球…。お盆休みといっても毎年これといってやることもないので、朝から高校野球を見てしまう。一日に4試合も見ることもあるが、飽きることはないし、結構しっかりと見る。プロ野球と違い、試合のテンポがいいからだろう。攻守交替も全力疾走で、きびきびしている。また、僕のような素人でも監督になりきれてしまうのも熱中できる要因だろう。「このケースはバントだろう。エンドランもありえるな。スクイズは…」等々。
高校野球の最大の魅力は「筋書きのないドラマ」にある。予選から一発勝負で負けたら次はない。それ故に多くのドラマが生まれ、そこから感動が与えられる。
今でも一番心に残っている試合は昭和44年に行われた第57回大会の決勝戦である。青森の三沢高校対愛媛の松山商業。三沢・太田、松山商業・井上、両投手の好投で、4時間16分という息詰まる試合は延長回でも決着がつかず、大会史上初の翌日再試合となった。結局松山商業が優勝するのだが、東北勢初の決勝進出となった三沢高校の健闘は多くの人に感動を与えた。その後、井上投手は大学へ進学。2日間で計27イニングス一人で投げきった太田投手は一躍ヒーローとなり、プロ野球へと進んだがたいした活躍もなく引退した。
これ以外にもドラマチックな試合は数多くあった。例えばPL学園の奇跡的な連続逆転勝ちや、最近では松坂がいた横浜の春夏連覇など。しかしあの三沢対松山商業の試合は高校野球の原点である『甲子園の心』を僕達に与えてくれたのだと思う。甲子園は野球選手なら誰もが持つ「夢」であり「希望」であり、それは甲子園に出場した選手だけが持つものではない。彼らは結果として甲子園で野球が出来るのであり、目指そうとするプロセスは皆、一緒なのだ。
ここ数年高校野球に対するイメージが変わりつつある。根性論は影をひそめ、髪型も一目で野球部とわかる坊主頭から長髪や茶髪、中には鮮やかな金髪の選手もいる。時代の流れとともにそれはそれで仕方のないことだと思うが、『甲子園の心』はいつの時代も受け継いでいってもらいたい。
この原稿がR134に載る頃には甲子園大会は終わっているだろうが、今年も数多くの熱戦が繰り広げられたに違いない。僕は甲子園球場に行ったことがないので、来年の夏休みはユニバーサル・スタジオ経由で甲子園に行こうかな。